特別研究室

デンマーク・コペンハーゲンのメトロ介

全線無人運転の地下鉄です。



ラインも何も入っていない真っ白の地下鉄。


・概要
 デンマークの首都、コペンハーゲンへは日本からも直行便が就航しており、私もこれまで何度かコペンハーゲン空港は利用したことがありましたが、市内に滞在したのは2015年8月が初めてでした。コペンハーゲン空港には郊外電車とメトロの双方が乗り入れており、メトロに乗ると都心まで20分ほどと、空港アクセス手段として旅行者にも利用価値が高い交通手段です。コペンハーゲン市自体は人口55万人と比較的小さな都市で、メトロも2路線があるのみです。2つの路線は一部区間で線路を共有しており、Y字型の路線ネットワークになっています。市内にはこのほか、バスと郊外電車の2種類があり、3交通機関で共通のゾーン制運賃制度が採用されています。乗車券としては、24時間券、72時間券などもあり、空港を含めたゾーンで使えるので、到着時に空港でこれらの乗車券を買うと、あとは帰りの空港まで有効となり、とても便利です。


左:空港駅。改札はないが,券売機とIC乗車券の読み取り機がある。
右:高架駅の入口サイン。路線図が描かれている。


左:先頭車両から撮影。この区間は終点に近く上下線の間隔がかなり広い。
右:2路線の分岐部分。前方展望ができるからこのような写真も撮せる。

・車両
 コペンハーゲンのメトロの車両は白いボディの3両編成の無人運転、第三軌条集電の車両です。この車両はミラノのメトロ5号線と同一規格とのことで、イタリア製の車両のようです。一車両にドアは2つ、電車は前面に大きな窓があり、乗客は前方展望を楽しむことができます。車内にはボックス席が並び、連接台車の編成は車両間の通り抜けもでき、大きな貫通路とともに連結部分に段差もなく、スムーズな通り抜けができます。

 この電車の魅力は何といっても前方展望ができることなのですが、先頭の最前列座席の部分は側窓がなく、前は見えても横が見えないという感じでちょっと残念です。パリメトロのMP05などは側面にも大きな窓があり、前方から横面にかけてワイドな視界が広がりますが、コペンハーゲンの地下鉄ではそういう感じではなく、ちょっと残念なところです。


左:大きな前面窓下に行き先表示があるがあまり目立たない。
右:側面も赤いMマークがある以外は真っ白。


左:車内の様子。ボックスシートが並ぶ。
右:先頭車端部分。大きな窓で前方展望は抜群。大きなワイパーが見える。

・駅
 日本でもしばしば「北欧デザイン」と言われますが、コペンハーゲンの駅もモダンなデザインのところが多くなっていますが、駅のホーム装飾は見られませんでした。駅の入り口には赤いMマークのサインがあります。都心部では結構深いところを走っており、エスカレーターやエレベーターを使ってホームまで下りていきます。信用乗車方式なので改札はなく、駅に下りるとIC乗車券のチェックイン、チェックアウトをする読み取り機と紙の切符の打刻機があります。地元のほとんどの人はIC乗車券を使っているようです。

 郊外では地上区間となっており、駅は高架駅になります。地上駅、地下駅ともに全ての駅でホームドアが設置されており、車両の写真を写す際は、地上駅のホーム端の柵が低いところから車両を写すしかありません。郊外の地上区間の高架駅も階段を上がるとホームとなり、3両編成に対応する短いホームと相まってとてもコンパクトな感じの駅になっています。郊外には近郊鉄道との接続駅もあり、階段を一つ上ったり下りたりするとすぐ別の路線のホームという感じの機能的な造りになっています。郊外路線と≠状に3線が連絡する駅もあり、複雑な構造でありながら、乗り換えはそれほど不便でないという感じです。


左:郊外の高架駅の全体。3両編成分のホームで駅自体がとてもコンパクト
右:電車の先頭部分から撮影。ホームドアが設置されている。


左:赤いMマークの入口サイン。
右:エスカレーター2本で近く深く潜る。


左:地下駅ホームの様子。天井までホームドアがあり,車両の撮影は困難。
右:地上部の入口。エレベーターはホームまで直行する。


オランダとは違って,チェックインとチェックアウトの読み取り機が区別されている。
紙の切符用の刻印機はほとんど使われていなかった。

・全体の感想
 2路線だけのシンプルなネットワークと、空港への往復に使えるという旅行者にとっての便利さもあり、今回の1泊2日のコペンハーゲン滞在でもとても重宝したという印象が残りました。今回はトランジットの合間の1泊だったので、空き時間を利用してすべての路線を完全乗車しましたが、それでも数時間あれば事足ります。特に郊外区間で前方展望を楽しみながらメトロに乗るのは楽しかったです。特にこれといった大きな特徴があるメトロではありませんでしたが、それでも使い勝手の良さや気軽さは他の都市の地下鉄にないものを感じました。


左:地下区間への入口。その手前にダブルクロスポイントがある。
右:郊外のデンマーク鉄道2路線との相互乗換駅。階段を下りたり上ったりするだけで乗り換え可能。


参考資料:

  • 日本地下鉄協会『世界の地下鉄ビジュアルガイドブック』、ぎょうせい、2015.10。

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    2017/11/18作成
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