特別研究室

フランス・リール地下鉄の紹介

短編成・高頻度無人運転です。


VALシステムの地下鉄車両。


 リールは20万人強の人口を有するフランス北部の町で,1号線,2号線の2路線のメトロ路線が走っています。両路線はそれぞれ黄色と赤のラインカラーで区別されています。1号線よりも2号線のほうが営業距離が長く,2号線の駅数は1号線の2倍近くになります。市の中心部は地下路線ですが,郊外に出るとメトロも地上に顔を出します。2号線は中心部に近いところでも地上区間がありますが,再び地下に潜り北西方面は終点駅の手前で地上に出るだけで,それまではずっと地下路線になっています。

 運営会社であるTranspoleはメトロの他にT線,R線というトラム2路線も運営しており,2号線の北東方面の路線とトラムの2路線が絡むようにネットワークが構成されています。市中心部のGare Lille Flenders駅がトラムの始発駅となっており,この駅ではトラムのホームも地下にあるので,メトロとの乗り換えも容易にできます。

 メトロの1号線と2号線は2つの駅で乗り換えが可能です。1つは市中心部に近いGare Lille Flenders駅で,この駅がメトロネットワークの中心駅となります。この駅は2面4線のホーム配置で,1号線2号線が同一ホームで乗り換え可能です。もう一つの乗換駅はProte des Postes駅でこちらは両路線が上下で直交する形の乗換駅です。階段をちょっと登り下りするだけで乗り換え可能ですので,それほど面倒はありません。


メトロ(左)とトラム(右)。フランスにはよくある組み合わせ。

 メトロの車両はいわゆるVAL方式の車両で,ゴムタイヤ車両が無人運転で走行するレンヌの地下鉄やシャルル・ド・ゴール空港の空港内のシャトルと同じ走行方式になります。車両は1車両2軸の車両が2両編成で組成され,1編成あたりの定員は列車としてはそれほど多くはありません。車体幅がとても狭く,向かい合って座る座席ではその間を人が通り抜けるのはかなり困難です。車両間の通り抜けもできません。

 1号線と2号線では車両タイプが異なり,2号線のほうが古めの車両のようです。1号線の車両は車端部に横掛け3人分の座席が向かい合って配置され,1車両3つあるドア間は片側に3人掛け座席,その向かいは簡易腰掛けがあるだけになって,車体幅の狭さをカバーしています。座席はFRP製でクッションはありません。車両端の席では前方(後方)展望が可能で,地上区間に出ると運転士(車掌)気分を味わえます。


1号線車両とその車内。横掛けシートは片側だけ。


2号線車両とその車内。2号線車両のほうは向かい合わせで間を人が通り抜けるのは困難。

 全ての駅でホームドアが設置されており,駅ホームで車両写真を撮すのは困難です。全駅4両編成までの長さに対応した設計になっていますが,2両分のホームしか供用していない駅と4両分フルに供用している駅の2つがあります。両者の違いはエレベーターやエスカレーター,階段の配置に関係しているようです。

 入口はMに↓を組み合わせたトルコ・イスタンブールの地下鉄と似たデザインのマークが付いています。入口を入ると券売機がありますが,改札がない信用乗車方式を採用しており,入口に切符の刻印とIC乗車券のチェックイン機があるだけです。ただし,駅構内にも案内係がいることが多く,また車内や駅での係員による検札はかなりの頻度で行われています。


左:駅入口。Mと↓を組み合わせたマークが目印。
右:駅改札口。ICカードリーダーと紙切符の刻印機がある。


左:ホームの様子。全駅に天井までのホームドアが設置されている。
右:1号線終点の駅。郊外の駅は高架駅が多い。

 リールのメトロの最大の特徴はなんと言っても高頻度運転でしょう。1編成の定員が少ないのもありますが,日中でも1〜2分に1本の割合で電車がやってきますので,1本電車を逃してとしてもそれほど大きな影響はありません。本当に次々に電車がやってくるといった感じです。無人運転なので折り返しの時間もほとんど必要なく,終点駅では折り返し線に入ったかと思うとすぐに戻ってくる感じです。


左:終点駅先の車両基地から出てきた車両。2編成が運用に入るタイミングを待っている。
右:青空の下,前方展望ですれ違う車両を眺める。


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2013/10/19作成
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