特別研究室

ミュンヘンの地下鉄



ミュンヘンUバーンもきれいな駅が多い。


・概要
 ミュンヘンの地下鉄は全部で6系統あり,1号線(U1)から6号線(U6)までの名称がつけられています。ラインカラーは線路を共有する路線ごとに定められており,U1とU2が赤,U3とU6が青、U4とU5が黄という組み合わせになっています。運賃はMVVと呼ばれる事業体に所属するミュンヘン近郊のトラム・鉄道・バスなどの公共交通機関で共通で,1回乗車券のほか,1日券,3日券,1週間券,1か月券などがあります。また5人まで利用できる1日乗車券もありました。私はミュンヘン空港での半日の乗り継ぎの際に地下鉄に乗ったので,ミュンヘン空港も範囲に含まれるMVV全ゾーンの一日乗車券を10ユーロ40セント(2010年8月現在約1200円)で購入しました。ミュンヘン空港と都心部の往復だけで18ユーロ40セントかかりますから,かなりお得な乗車券でした。


左:市内中心部Marien Platz駅。U3,U6線ホーム。
右:こちらはU4,U5線の駅。シールドトンネル+黄色ラインで東京メトロ有楽町線の永田町駅みたい。

・車両
 車両は大きく分けて3タイプあり,車両はどの路線も共通のようです。集電は第三軌条を介して行われます。外観は白をベースに水色のラインが入っており,札幌地下鉄の東豊線のような雰囲気です。一番初期型と思われる車両は前面3分割窓で両サイドの窓が局面になって側面に回り込み,前面中央上部にもライトがある三つ目の車両です。このタイプの車両は塗装の塗り分けが二通りあるようです。室内は札幌地下鉄2000系にもあったような木目調の化粧板ですが,座席配置はドア間にボックスが2つ並んでいます。車両間の通り抜けできず,運転台のない連結面は正方形の窓があり,運転台のあるほうは乗務員室ドアの上部に路線番号が表示されるパタパタ表示があります。次に古そうな車両は前面1枚の大きなガラスで,内装については初期型車両とあまり変わるところはありません。この車両も三つ目ライトの車両で,外観も側面はあまり変わらないので,おそらくは初期型車両のマイナーチェンジ版として登場したものではないでしょうか。


左:初期型車両。3分割の前面窓が特徴。
中:同じ形式だけど塗り分けが若干異なる。奥の編成は車体下部が白。
右:室内はボックスシート。木目調の化粧板で落ち着いた感じ。

 上記2形式の車両は2両1組になっており,これを最大3編成連結した6両編成で運転されています。ですので運転台のない中間車両は存在しません。また,客室ドアはドアノブの操作で開き,閉まるときは自動です。両開きのドアですが,片方だけのノブを操作するとそのドアのみ開いた片開き状態になり,両ドアを開けたければ両側のドアノブを操作する必要があります。


左:こちらの車両は前面1枚窓。行き先表示の中にライトがある。
右:車内は初期型車両とほとんど同じ。乗務員室ドア上に路線番号を表示

 最後の車両は東京メトロ副都心線の10000系にも似た感じの丸い顔を持つ一目で最新型とわかる車両です。この車両は6両1編成で大きな貫通路を持ち車内の通り抜けができるようになっています。座席配置はこれまでのボックスタイプだけではなく,先頭車両には横掛けのロングシートがありますが,座席はまっすぐではなくドア間で弧を描いた洒落た配置となっています。


左:最新型車両。日本でも見かけそうな丸みのある顔。
中:スタンチョンポールなど車内はいかにもヨーロッパ風。
右:弧を描いた座席配置。座席にクッションはない。

・駅
 駅の入り口にはドイツ国内のUバーンに共通の青地に白いU字のマークが掲げられています。一部の駅の入り口にはエスカレーターが設置されていますが,乗客のいないときは止まっています。日本と違い,上り下りは決まっておらず,上からでも下からでもセンサーが人を感知すると,下り向きにも上り向きにも動くという合理的なしくみになっています。駅のコンコースには改札口がなく,検札は係員によって抜き打ちで実施されるようです。このような無改札の信用乗車方式はドイツやベルギーの地下鉄で多く採用されています。コンコースにはトイレが設置されており,無料で利用できますが,中心部の駅ほど利用者が多くてあまりきれいではありませんでした。これは日本でも同じでしょうか。


左:青いUマークはドイツの他の都市でも見られる。
右:改札口はなく,ホームに下りる階段に刻印機があるのみ。


左:吹き抜けのホームに青く光る柱。
中:こちらはレインボーカラーのグラデーション塗装。
右:エスカレーターは上り下り共有。サインの↓↑がそれを示す。

 乗換駅はそれぞれの路線のホームが「+」状に直行したり「=」のように平行したりと,路線同士のホームが離れているところはないので,乗り換え自体はさほど面倒ではありません。多くの駅のホームは装飾がされています。線路の間の柱が青く光っていたり,虹のようにグラデーションカラーとなったホーム壁があったりと,とても変化に富んでいます。特別な装飾がなされていない駅には,ラインカラーである赤,青,黄の線が壁に引かれており,東京の地下鉄のような雰囲気です。同じホームに異なる系統の電車が発着するので,ホームの発着案内は路線番号と行き先,それに電車の長さ(2両,4両,6両)がデザイン化されたピクトグラムで表示されます。私が乗車したときはすべての電車が6両編成でしたが,ホーム壁下部には乗車位置の目安として,発着案内のものと同じピクトグラムで電車の止まる位置が示されます。


左:ホームの発車案内。電車3両は6両編成を表す。
右:発車案内と同じピクトグラムが乗車位置を示す。

参考資料:

  • MVVウェブサイト(英語)http://www.mvv-muenchen.de/en/home/index.html
  • 日本地下鉄協会『世界の地下鉄 151都市のメトロガイド』,ぎょうせい,2010.3。

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    2010/11/20作成
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