特別研究室

イタリアローマ地下鉄の紹介

観光には便利な交通手段です。



朝日を浴びながらテヴェレ川を渡るローマメトロA線車両


・路線と料金
 ローマのメトロは2路線あり,A線とB線という名前が付けられています。双方の路線は国鉄 の中央駅であるテルミニ駅で交差し乗り換えができます。シンプルな路線形態なので,乗り換 えでも迷うことはまずありません。電車の通行方式は日本と左側通行でイタリアの道路通行 方式とは反対になります。A線はバチカン市国やスペイン広場,B線はコロッセオやチルコ・ マッシモなどの主要な観光名所の最寄り駅になります。

 料金は1回乗車券が1ユーロ,24時間有効の1日乗車券が4ユーロとなっています。1回 乗車券はトラム・バス同士およびトラム・バス−地下鉄の乗り換えだと75分の有効となりま すが,地下鉄のみの場合は1乗車限りの有効となり,地下鉄の一度改札機を出ると,再入場 することはできません。切符は駅の自動改札機の他,市内のタバコ屋などで買うことができ ます。

・車両
 車両はどちらの路線も片側4ドア(外吊り形)の車両6両編成で,車両形式は異なり,A線の 方には数年前から導入された新型の車両が使われています。A線用車両は貫通路が付き,先頭 車から最後尾車まで6両とも通り抜けることができます。車内は横掛けタイプでプラスチック 製のベンチが並んでいます。短時間であれば,プラスチックのベンチ形座席でもそれほど疲れ ることはないのですが,加減速の時にお尻が滑って体勢を維持しにくいという欠点があるよう です。車内にはつり革はありませんが,車内中央にフランス製の車両でよく見かけた三つ又の スタンチョンポールが立っています(A線車両がフランス製かは不明)。また,天井にはモニ ターが設置され,お知らせや注意の他,広告も放映されています。外観は白にワインレッドの 帯が巻かれたカラーリングで,窓周りがブラックアウトされてアクセントになっています。


左:A線用車両は数年前から導入された新型車両。右:白いボディにワインレッドのライン。


車内は先頭から最後尾まで通り抜けができる。天井にはモニタがある。

 一方のB線用車両は旧型の車両でこちらは車両間の通り抜けはできず,貫通路は非常用と なっています。こちらの車内もプラスチックの座席がドアの間に4人分並んでいます。内装は 青く塗られたドアと赤いスタンチョンポールがアクセントになっています。B線用車両の外観は ほぼ直方体と言っていい形状で,正面は大きな正方形の窓が2つ並んでいます。落書きでほと んどオリジナルの塗装は見ることができず,もともと何色なのかわからないくらいです。どち らの路線の車両もドア上には路線案内が掲示されており,駅名の他,その駅のホームが島式か 対向式かがわかるようにイラスト化されています。


左:B線用車両。ほぼ直方体のボディ。右:A線車両と違い,車体の落書きはもの凄い。


左:車両間の通り抜けはできない。青いドアと赤いポールがアクセント。
右:ドア上の路線案内。ホームの形状により出口がわかるようになっている。

・駅
 駅の入口はMのマークが目印になっています。階段を下りてコンコースへ入ると,切符の 自動販売機と改札機があります。入口は両開きドア式の改札機で入場時のみ切符を通します。 出場時には回転バー式の改札機を通り抜けるだけで切符を使うことはありません。ホームとの 間の動線も乗車(ホームへ向かう人)と降車(出口へ向かう人)がある程度区別されており, 階段も両者で区別されているところが多くなっています。駅構内にはBGMがかなりの音量で 流されて賑やかな雰囲気です。案内表示では列車の接近表示は行き先と到着まで時間(分)が 表示されます。


左:B線ピラミデ駅。この駅は地上駅で駅舎がある。
右:A線エスパーニャ駅。こちらは丘のふもとに入口がある駅。観光名所スペイン広場は目の前。


左:改札口。入口と出口は完全に分かれており,改札機は種類も違う。
右:ホームは少し暗いが,電車の接近表示は大きくて見やすい。

・治安
 観光ガイドブックを見ても,ローマの地下鉄はスリが多いと書かれています。A線の車内 モニターでもスリや痴漢に注意という映像が流されていました。私も最初は多少気を遣って 乗っていましたが,私の乗った感想からは,それほど緊張する必要はないと思いました。 今回私がメトロに乗ったのは,早朝から朝のラッシュ時間帯だけですので,夜などのことは わかりませんが,地元の人でも膝の上に口の開いたバッグを載せて新聞を読んでいる人もいま したし,雰囲気もリラックスしており,パリなど他都市の地下鉄の雰囲気と何ら変わるもの ではなく,特にローマのメトロだから特に注意が必要という感じではありませんでした。 ただし,どこの都市の地下鉄もそうですが,やはり日本の都市のように全く無配慮というわけ にはいかないでしょう。


股間が挟まれるドア注意のイラスト。同じようなモノはリスボンのメトロでも見かけた。


参考資料:

  • 『地球の歩き方'07〜'08ローマ』ダイヤモンド社,2008.4。
  • 日本地下鉄協会『最新世界の地下鉄』,ぎょうせい,2005.6。

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    2008/11/15作成
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