駅のコンコース

言ってみれば,ここが駅の顔かもしれません。


北24条駅コンコース
定期券売場やバスターミナルへ上がる階段はとても狭い。


 そもそも,コンコースという言葉,駅の案内板で見る以外にあまりなじみのある言葉ではありません。 広辞苑を紐解くと,コンコースとは,「公園などの中央広場。駅や空港の建物 の中央にある大通路。」とあります。だいたいの想像はつくかもしれませんが,駅の中心的な 通路をコンコースと言うわけです。札幌地下鉄駅の場合,コンコースは大体が地下鉄本線上に設けられて いますが,その駅周辺の地形,乗客数,流れなどで数種類の構造が見られます。大通駅のように すすきの駅やバスセンター前駅まで続くものもありますし,北18条駅や西28丁目駅のように コンコース自体がない駅もあります。

 大きく分類すると,コンコースが端から端へ突き抜けるタイプ(元町駅,円山公園駅など), 片方にだけコンコースが伸びているタイプ(すすきの駅,大谷地駅など),コンコース自体がない タイプ(平岸駅,東札幌駅など)に分けられるでしょう。

 ただ,最近作られた東豊線豊水すすきの−福住間や東西線の琴似−宮の沢間では,すべての 駅が島式となり,駅構造もほとんどの駅で1ラッチの改札口を中心として両側へ伸びるコンコース というものになってきています。


 いくつかの駅のコンコースとそこにある施設をご紹介しましょう。はじめに東西線琴似駅。 平成11年2月の宮の沢延長開業で終点から途中駅に変わりましたが,西区役所,西区民センター などの最寄り駅で,西区の中心にある駅であることには変わりません。東西線琴似駅も西区の 中心的な駅としての顔が見られます。

 まずは,コンコースにテーブルといすが置いてあり,自由に休むことができます。 琴似以外の駅にもベンチはありますが,テーブルといすが置いてある駅はありません。また,琴似駅 には改札口が3カ所ある3ラッチ式となっていますが,これらをつなぐコンコースの壁面には「西区 役所からのお知らせ」が掲示されていたり,「メトロギャラリーことに」というものがあります。 私が訪れたときには「メトロギャラリーことに」には,小学生の描いた絵が展示されていました。 特に西区の代表駅であるということがこれらをつうじても感じられます。

 琴似駅コンコースの様子

 普通地下鉄駅のコンコースは本線上に設けられることが多いのですが,ひばりが丘駅の コンコースは本線上にはありません。電車を降りて改札口へ向かうとその左側にひろいコンコースが あります。これは,ひばりが丘駅から延びる東車両基地への回送専用ホームの上にコンコースを 設けているからです。そのため,駅の構内もかなり広くとられ,開放的な感じがします。

ひばりが丘駅コンコース,改札口が本線ホーム上,コンコースが回送専用ホーム上にある。

 もう一つご紹介しましょう。自衛隊前駅は高架駅なので,コンコースというより改札前広場といった 感じですが,ここには「駅前食堂」があります。実際には駅内にある食堂なのですが,店の名前は 「駅前食堂」となっています。自衛隊前駅には1階にコンコース,2階にホーム,3階に南北線乗務区 があり,「駅前食堂」は南北線乗務区の職員の食堂を一般にも開放している感じです。そのため, 食堂の奥には「交通局職員専用席」が設けられています。ちなみに自衛隊前駅には「駅前食堂」 の隣り合わせで床屋もあります。


参考資料:
札幌市交通局『札幌市高速鉄道 東豊線建設史(栄町〜豊水すすきの間)』,1989.9。
札幌市交通局『札幌市高速鉄道 東豊線工事記録(豊水すすきの〜福住間)』,1995.3。
札幌市交通局『札幌市高速鉄道 東西線工事記録(琴似〜宮の沢間)』,1999.11。


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1999/10/11作成
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