案内板・駅名標の不思議

案内板や駅名標の疑問を考えます


乗り換え案内板(大通駅)
こちらは新しいピクトグラムを使っています。


 札幌市は条と丁目で住所を表すため,駅名も必然的に○○条,○○丁目というものが多くなって います。他市の地下鉄と比べても条,丁目のつく駅名は非常に多いのです。また○○の数字自体も 他市と比べ格段に大きい数字がつけられています。札幌の地下鉄の中でもっとも大きい数字が付く のは北34条,ついで西28丁目さらに北24条と続きます(二十四軒はこれ自体が地名なので除外)。 また北18条,西18丁目,南郷18丁目と18の付く駅がの三つもあります。他市の地下鉄で見ると, 東京には西新宿五丁目と四谷,新宿,志村,本郷などに三丁目駅,青山,銀座に一丁目駅があり, 大阪には谷町九丁目や天神橋筋六丁目があります。しかし,いずれも漢数字を用いており,札幌の ようにアラビア数字を用いる駅名はありません。他市の地下鉄にはすべて一桁数字の駅名ですが, 札幌では二桁が多く,とてもスケールが大きい駅名になっています。

 また,数字駅は西と北そして南郷に集中しており,南○条と東○丁目駅がないのも一つの 特徴でしょうか。南,東方面とも地下鉄が豊平川を渡ってしまい,条・丁目表記住所が終わってしま うのが理由でしょう。個人的にはバスセンター前駅は東3丁目駅のほうが良いのではないかと思います。 バスセンター前という駅名も好きですが,実際にはバスセンターまでかなり歩くので,オーバー ネーミングではないかと思うのです。

 札幌の地下鉄駅で唯一改称したのが旧霊園前駅,現在の南平岸駅です。この駅の近くには以前 火葬場があり,周辺に平岸霊園も広がっていました。しかし,火葬場が移転し,周辺住民からも 「イメージが悪い」とのクレームあったので,東豊線福住延長開業の平成6年10月から南平岸駅 と改称しました。しかし,周辺の正式な地名は「平岸」であり,「南平岸」という地名はありま せん。

 また,なぜJRが「札幌」駅なのに対し,地下鉄は「さっぽろ」なのかというのが私にもよくわ かりません。南北線のさっぽろ駅だけでなく,東西線の新さっぽろ駅もJR千歳線新札幌駅に連絡 しています。他市の場合,大阪と神戸を除いてその市を代表するJR駅(都区市内の中心駅)と全く 同じ駅名があります。大阪は私鉄各線と同じ梅田という駅名を持っていますし,神戸は中心駅自体に 地下鉄が通っていません。JR札幌駅に連絡する地下鉄駅がさっぽろ駅なのはどうしてなんでしょう。

 さらにおかしいのは,JR白石駅とは全く違うところにある地下鉄白石駅が同じ駅名がということ です。JR駅と地下鉄駅は軽く2kmは離れているでしょう。同じ東西線の琴似駅もJR駅と同じ駅名ですが, ここも500mほど離れています。

 「公園」の付く駅は中島公園,円山公園,豊平公園が各線にあります。札幌周辺のJR線にも稲積 公園,あいの里公園,森林公園などが見られます。東京の地下鉄では代々木公園,芝公園の二駅がある のみですから,公園駅の割合はかなり高いでしょう。札幌には公園が多いということなのでしょうか。


 現在,札幌の地下鉄の駅名標は,上のような黒地に白い文字で駅名とローマ字さらにその下に ラインカラーで線が入っており,そのホームに来る電車が進む方向を表しています。そのラインの下 には前の駅名と「次は○○」と次の駅が黄色の文字で書かれています。

 しかし,南北線の開業時には今とは全く別のデザインが使われていました。どちらかというと 旧国鉄の駅名標と似たデザインで,長方形の下側にT字型のラインが入り前駅・次駅が記され, 上半分に大きく駅名が書かれていました。駅名表示は当駅,前次駅とも紺色の漢字とオレンジ色の ローマ字でした。また,左右の端には縦書きで北方面,南方面の文字が入っていました。 あくまでイメージでフォントなどは異なりますが,下の図のような感じです。

 南北線の駅名標だけは現在も「北方面」「南方面」表記が残っています。また,東西線の 駅名標には開業当初青色で「白石方面」「琴似方面」の文字がありましたが,現在は姿を消しています。 宮の沢延長の時からなくなったとのことですが,終点が延長する度に全駅の駅名標を更新しなけれ ばならないため,省略したのだと考えられます。さらに東豊線と東西線琴似−宮の沢間の各駅の前駅・次駅表示にはローマ字が 加えられています。以上のことをまとめると各線の駅名標の違いは下のようにまとめられます。 開業時期や路線の違いで大きさも若干異なります。

項目南北線東西線東豊線
方面表示北方面・南方面白石方面・琴似方面
(今はなし)
なし
前次駅表示日本語表記のみ日本語表記のみ
(琴似−宮の沢はローマ字表記併用)
日本語とローマ字表記併用

 すすきの駅の1番ホーム真駒内側にはちょっと変わった駅名標があります。それは他のどの駅にも 見られない方面表示が黄色で書かれているものです。右の写真と上の大通駅の駅名標を比べてみれば わかると思います。「北方面」「南方面」の文字がオレンジでなく黄色で書かれています。この ような駅名標は,すすきの駅の駅名標の中でも1番ホームの一番真駒内寄りのものだけです。 なぜたった一つだけ色が違うのでしょう。とても不思議です。

 もう一つ,駅名標の違いは終端駅にあります。上には新さっぽろ駅と麻生駅の駅名標があります が,この二つはラインカラーの矢印が真ん中の白丸から始まっています。ところが,下の栄町や宮の 沢駅のそれは,真ん中の白丸を突き抜けたところから始まっています。矢印の長さで言うと新さっぽ ろ駅や麻生駅のそれは普通の半分の長さ,栄町駅や宮の沢駅のは普通の3/4の長さです。なお,新さ っぽろ駅の1番ホーム(普段の到着ホーム)の駅名標は照明が消えているものが多いです。このページ の上にある新さっぽろ駅駅名標も照明が消えているものです。他の終着駅ではこのようなことはあり ません。


 札幌の地下鉄を示すマークは現在はSAPPORO CITY TRANSPORTATION BEUEAUの頭文字をとった STをデザイン化したマーク(以下,STマーク)を使っています。これは平成6年から使われています。 それ以前は北海道をデザイン化したマークで真ん中にSの文字が入っているものが使われていました。 以前は北海道を代表する地下鉄といった存在が,札幌市の中に収まってしまった印象です。今でも 6000系には頭に北海道をかざして走っていますが。STマークが使われる前は札幌市の市章が地下鉄 車両に取り付けられていました。このことに関しては,車両研究室 で詳しく研究します。

 同時に各線を表すピクトグラムも変わっています。駅施設の研究ページの頭にある古いタイプの ピクトグラムとこのページのトップにある新しいタイプのピクトグラムです。どちらも案内軌条が あり,地下鉄とわかりますが,新しいほうはバスにも見えるし,車両ごとの特徴が描かれていないので, ちょっと物足りない気がします。まあ,最近の車両はどの線でも似たデザインになってきたことも ありますが。

 大通駅は3線が交わるターミナル駅だけあって,構内もとても広くなっています。そのため, エレベーターの案内図があります。大通西3丁目の8番出入口(正確にはオーロラタウン入口)に エレベーターがあり,そこから地下へ降ります。しかし,一番乗車が大変なのは南北線真駒内方面 です。エレベーターだけ利用すると一度西側の東西線ホームへのエレベーターを使って東西線ホー ムへ降り,南北線の下をくぐって反対側の東西線ホーム東側エレベーターでまた地下2階の連絡通路 へ上がってやっとホームに到着です。南北線真駒内方面を利用するなら東豊線側の大通西1丁目の エレベーターを利用たほうが便利でしょう。ただし,南北線・東西線のエレベーターにある案内図 には東豊線の影も形もありません。


参考資料:
藤本均『地下鉄の時代』,たちばな出版,1997.8。


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2009/1/23更新
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