駅のホーム

ここでは駅のプラットホームやそこにあるものなどを研究します。


幌平橋駅2番ホーム
曲線ホームなので車掌は3台のモニタで安全を確認する。


 一般的にホームの形状は島式と対向式に分けられます。島式は上下線の間にホームを設ける タイプで,琴似,澄川,美園などに見られるタイプです。島式ホームは上下線で一つのホーム を設ければいいので,エスカレーターやエレベーターの設置数が対向式少なくなります。しかし, 両方面の乗客が一緒のホームを利用するため,混雑する駅ではホームが手狭になるということが 考えられます。また,上下線が離れるため,漏斗部という軌道の曲線部分を設けて上下線の間隔を 広げないといけません。南北線さっぽろ,北24条両駅は島式ホームですが,漏斗部の曲線はかなり きつく,駅進入時には左右に大きく振られます。です。比較的新しい東豊線では漏斗部の曲線が かなり緩和され,左右に振られる感じはほとんどありません。

 一方の対向式ホームは,上下線を挟んで向かい合うタイプのホームで,北13条東,南郷13丁目 駅などで見られます。対向式ホームは上下線で別々のホームがあるのでエレベーターやエスカレータ ーが島式の場合より多く設置しなくてはなりません。しかし,方面別にホームが分かれているので, 乗客がホームにあふれることはあまりありません。さらに対向式ホームでは,ホームと同じ階に 改札口を設けることができ,一層構造で駅を構成できるという利点があります。このような造りの 駅は,中の島,北18条,西28丁目駅などで見られます。

 札幌地下鉄では,東豊線栄町−豊水すすきの間の開業での新道東,環状通東,北13条東,大通の 4駅が対向式ホームで建設されたのを最後に,東豊線豊水すすきの−福住,東西線琴似−宮の沢の延長 開業区間では全ての駅が島式ホームで建設されました。また,南北線開業以来,終端駅となる駅は全て 島式ホームとなっています。ホーム折り返しが行われる都合もあるのかもしれませんが,今まで終端駅 となったことのある10駅のうち,常時ホーム折り返しが行われていた駅は,真駒内,琴似,豊水すすき の,宮の沢の4駅です。さらに,平成13年3月からは札幌ドームのオープンを前に福住駅でもホーム折り 返しを行い始めました。ホーム折り返しの駅では,駅手前の渡り線を使います。渡り線手前では「曲線 部通過のため,揺れますのでご注意ください。」という親切な車内放送が入ります。また,他の終端駅 でも停泊の関係で駅手前の渡り線を使用することがあります。


 ホームにあるものといっても,普段よく使うベンチやゴミ箱だけではありません。他にもいろい ろな物が設置されています。例えば,水飲み場。普段あまり使われているのを見かけませんが,各駅に 必ず一つは設置されています。南郷7丁目駅などには公園などでよく見かける柱型の水飲み場と壁に 設置するタイプの二つがあります。また,さっぽろ駅の壁設置型の水飲み場には車椅子のピクトグラム が貼られています。よくわかりませんが,体の不自由な方のためにあるのでしょうか?

 また,普段私たち利用者が利用しないものでも,業務用に使用するものがホームの端などに置い てあります。一つには砂箱があります。砂といって思い浮かべるのは車輪の空転止めですが,札幌の地 下鉄はもちろんゴムタイヤ式なので,砂箱は滑り止めのために用意されたものではありません。砂箱は 水気の多いものを床にこぼしたときに処理するために用意されているのです。右の写真では砂箱の隣に 軌道へ降りる梯子が置いてあります。事故などが発生した場合に使用するのでしょう。

 最後にトイレのお話をしましょう。改札内にトイレが設置されている駅はどこにあるでしょう? これを知っていれば,急に用を足したくなったときにでも,ちょっと安心です。まず東豊線,東西線 では大通駅にしかありません。ただし,東西線の大谷地駅には2番ホームに車椅子用トイレが設置され ています。大通駅のトイレは東豊線への連絡通路にあります。南北線は北12条(1番ホーム側),大通 (東豊線連絡通路),すすきの,中島公園,幌平橋,平岸,南平岸,澄川,自衛隊前です。これを見る と,南北線でも南方面に多いことがわかります。なお,南平岸,自衛隊前には改札外にもトイレがあり ますし,幌平橋駅は車椅子用トイレだけは改札外になります。


水飲み場(南郷7丁目駅)と砂箱・梯子(北12条駅)
奥の壁際にもう一つ白い壁設置型水飲み場がある


 朝の始発前の時間に真駒内以外の終端駅に行くと,駅ホームには電気の消えた電車が停泊している はずです。停泊している電車にはタイヤに輪留めが付けられています。電車の発車までに運行前の点検 が行われ,日中とは違った光景が繰り広げられます。ブレーキなどの制御機器,ドア開閉,タイフォン の点検が行われ,点検が終わってから乗客が乗車できるようになります。なお,駅構内線路の整備や 壁面広告の入れ替えなどの作業がある場合は,臨時に停泊位置が変わることがあります。麻生駅の場合, 2編成留置できる引き込み線に通常は1編成しか留置していませんので,作業がある場合には麻生停泊の 4編成とも引き込み線停泊に変更され,ホームは空いたままになります。翌日の発車は通常と変わらず, 始発電車は1番ホーム,次発電車は2番ホーム発となります。


始発前の麻生駅と運行前点検の様子
左の写真,時刻は5:45。点検は車内の電気を消したままで行う


停泊中の3004編成とタイヤにかけられた輪留め(麻生駅:左,中)
輪留めは長い取っ手が付いており,ホームから外すことができる(栄町駅:右)


参考資料:
札幌市交通局『札幌市高速鉄道 東豊線建設史(栄町〜豊水すすきの間)』,1989.9。
札幌市交通局『札幌市高速鉄道 東豊線工事記録(豊水すすきの〜福住間)』,1995.3。
札幌市交通局『札幌市高速鉄道 東西線工事記録(琴似〜宮の沢間)』,1999.11。


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2001/5/19更新
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