東豊線の車両

ここでは東豊線を走る7000系について研究します

昼間は閑散としていて地味な路線ですが,20編成の7000系が 走っています。


7000系7001編成 大通駅
7001編成は開業1年半前に配備されました。


 東豊線用車両は当初,東西線用6000系を改良・増備の上で東西線と同じ6両編成で使用する計画 でした。東豊線用6000系は東西線用6000系の緑地の部分を青地にした新しいカラーリングにする予定 だったようです。しかし,車体形状,寸法,定員等の変更が行われることとなり,形式も7000系と されました。また,編成両数も6両から4両へと変更になっています。7000系は,東西線内も走行可能 とするため,車両限界は6000系と同一ですが,壁の厚さを薄くすることで客室内部は6000系よりも 広くなっています。また,客室ドアが6000系よりも10cm広い140cmとなり,乗降がしやすいよう設計 されています。さらに,シートの奥行きが狭くなり,立席スペースを拡大しています。この結果, 6000系と比べ,定員は先頭車で4(116→120)名,中間車で12(126→138)名へと増加しました。 その他,7000系では車体が大きくなった関係で連結部の車両間隔が6000系の1mから60cmへと40cm短縮 されています。

6000系と7000系の車両間隔の比較。
6000系の車両間隔は1m,7000系は60cm。


 内装では,6000のクリーム色からブルーの基調色に変わって,6000系の暖かいイメージから ちょっと寒い感じになりました。イラストもカッコウ,スズラン,ライラックが戸袋に,牧場風景が ドア下部に描かれています。しかし,6000系先頭車にあった乗務員室仕切面のイラストは7000系では なくなりました。シートは従来のものと同じオレンジと専用席には青の生地を使っています。

 また,7000系と2000系以来の車両との違いでは,専用席のシート配置が挙げられます。2000系 以来の車両では,専用席が貫通路を挟んで反対側になるよう千鳥状に配置されてました。しかし, 7000系は貫通路で同じ方向になるように配置されています。

6000系と7000系の専用席配置
6000系は貫通路を挟んで反対側に,7000系は同じ側に配置される。


 7000系は現在,下のような2M2Tの4両編成で運転しています。

栄町 <7100+7200+7300+7800> 豊水すすきの 赤字は電動車

このうち,7300形にはパンタが2つあります。7000系は将来的に最大8両まで増結が可能ですので, 豊水すすきの側先頭車は7800形となっています。これは,東西線の開業当時6000系が将来9両までの 増結を考慮し,

白石 <6100+6200+6300+6900> 琴似 赤字は電動車

となっていたのと全く同じです。6000系は開業2年後に2両増結されましたが,7000系は開業後すでに 11年が過ぎていますが,増結される気配はありません。おそらく今後増結の可能性が出てきても, 6000系に増結された8300形のように,7400形や7500形ではなく新形式の車両が増結されることで しょう。

 このように7000系は開業当初4両編成×15編成でしたが,このうち,7001編成は先行量産車 として,7002編成以降より1年早い昭和62年3月に西車両基地に配備され,深夜の東西線で試運転を 行っていました。7002〜7015編成は昭和63年3月から7月にかけて配備され,10月からの営業運転に 備え,各種試験,乗務員訓練が行われました。


 平成6年10月の東豊線福住延長開業にあわせて,7000系も7016〜7020編成の5編成が増備され, 合計4両×20編成の80両が揃いました。以降,福住開業時の7000系増備車を 7000系後期車と呼びます。7000系後期車は開業当初からの車両 (以下7000系初期車)からカラーリングが変わっています。 これは,交通局のイメージアップ計画で市民からのアンケート結果を基に交通局とデザイン専門家 の検討の結果決定したカラーリングでした。従来の札幌市章はなくなり,STマークが前面と側面に あしらわれ,客室ドアと前面非常口をラインカラーであるスカイブルーにする塗り分けです。 また,前面にLED式の行き先表示が設けられました。

 室内も基本的に初期車と同じですが,基調色がやや暖かみのある青に変わっています。 シート地もオレンジと青には変わりありませんが,座席区分のあるものに変わり,シート端部も 変更されています。そして,最大の変更点は,室内に路線案内表示器が設置されたことでしょう。 また,乗務員室では,メーター類・スイッチ類の配置と計器盤の高さが変更され,視認性・操作性の 向上が図られています。


参考資料:
札幌市交通局『札幌市高速鉄道 東豊線建設史(栄町〜豊水すすきの間)』,1989.9。
奥野和弘「札幌市地下鉄東西線 いよいよ開通」『鉄道ファン』,184,交友社,1976.8。
梅田吉正「札幌市交 7000系デビュー」『鉄道ファン』,317,交友社,1987.9。
「新車プロフィールガイド 札幌市交通局 東豊線7000系」『運転協会誌』,巻号不明,日本鉄道運転協会,1994.8。
「札幌市交通局 南北線2000形・3000形 東西線6000形 車両主要諸元一覧表」『鉄道ファン』,212,交友社,1978.12。


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1999/10/11作成
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