パリメトロの駅(ホーム装飾その2)

まだまだきれいな駅はたくさんあります。


壁には周辺地図が...(9号線Pont de Sevres駅)


7号線Pont Neuf駅
 7号線Pont Neuf駅は近くに造幣局があるとのことで,ホームには大きなコインで装飾されて います。ホームの壁から天井を通り反対ホームの壁までまるでコインの天の川のようで, その下をMF77がくぐります。


小銭入れから飛び出したコインがホームを飾っているよう。

7号線Villejuif Leo Lagrange駅
 7号線のVillejuif Leo Lagrange駅。この駅にはスポーツの記録にちなんだ装飾がなされています。 駅に入ったコンコースにはバスケットボールやハンドボール用のラインが床に描かれています。 そして,Villejuif Luis Aragon方面行きのホームには100m走,La Courneuve方面行きのホーム には競泳100mの歴代世界記録がそれぞれ描かれています。また,ホームの端には走り高跳び, 棒高跳びの記録も描かれ,とても楽しめる駅です。ベンチも競技場をイメージして座席番号が ふられ,ゴミ箱にも番号があります。ちなみに,1号線Tuileries駅に写真があるカールルイスは ここの記録に登場します。パリメトロの2駅に名前が残るカールルイスは,やはり偉大な人ですね。


7号線のVillejuif Leo Lagrange駅のホーム装飾。
左:Villejuif Luis Aragon方面行きのホームには100m走の記録。人間9秒79,熊10秒28。
右:La Courneuve方面行きのホームには競泳100mの記録。人間48秒21,タコ60秒00。


左:ホームの壁には走り高跳びと棒高跳びの記録。床には1mごとにしるしが。
右:ここには走り幅跳びの記録。


左:ベンチやゴミ箱にも番号が。
右:コンコースにはいろいろなスポーツのラインが引かれている。

7・9号線Chaussee d'Antin La Fayette駅
 7号線と9号線が乗り入れるChaussee d'Antin La Fayette駅には双方の路線のホームに装飾が 施されています。7号線ホームのほうはアメリカ独立戦争で活躍したフランス人の英雄La Fayetteを 讃えたもので,線路の上の天井を覆うとても大きな画が飾られています。一方の9号線ホームのほうはアメリカ とフランスに共通する文化などのイメージが天井に描かれています。なお,この駅はデパート 「ギャラリー・ラファイエット」の最寄り駅で,駅の装飾もこのデパートの資金提供で行われ ました。


Chaussee d'Antin La Fayette駅のホーム装飾。
左:7号線ホーム,右:9号線ホーム

10号線Cluny La Sorbonne駅
 ソルボンヌ大学の最寄り駅である10号線Cluny La Sorbonne駅は,実は1937年から閉鎖されて ました。それがRER B・C線との接続を図る上で1988年に50年ぶりに復活したという面白い駅です。 ホームはタイルのモザイクで鳥が描かれています。また,著名人のサインが天井に書かれており, 誰のサインなのかはホームの壁に書かれています。ちなみに,この駅は本線の間に中線を一本 配置する3線構造の駅です。中線にはホームはありません。


左:ホーム装飾。小さなタイルによるモザイク画。
右:天井に書かれたサイン。これもモザイク。


駅名標も他の駅とフォントが違う。

11号線Arts et Metiers駅
 前ページのトップ写真にある11号線のArts et Metiers駅。この駅の名前Arts et Metiersとは, 「工芸美術学校前」という意味で,駅周辺には国立工芸院や産業技術博物館があります。この駅 のホームには潜水艦ノーチラス号をイメージした装飾が施されています。工芸にちなんで銅板で 覆われた天井や機関室の大きな歯車,潜水艦の丸い窓は一見の価値ありです。


潜水艦ノーチラス号の機関室がモチーフ。

12号線Concorde駅
 12号線のConcorde駅は,アルファベットのタイルで一面覆われています。ただランダムに アルファベットが並べられているのではなく,「人権宣言」が書かれているとのこと。この駅の 真上のConcorde広場はかつて革命広場と呼ばれ,「人権宣言」はフランス革命の結果生まれた ものです。フランス革命ではルイ16世やマリーアントワネットがこの革命広場で処刑されました。 1号線のBastille駅の装飾もフランス革命絡みですので,両駅の装飾は深く関係していますね。 ホームの壁から天井まで約44000枚のタイルが使われており,作成時にはタイル工もかなり注意 を払って貼ったのでしょう。

 青タイルで囲まれた中に文章が書かれており,その上にページ番号にあたる数字が1から 16まで記されています。ですから,「全ての人間は生れながらにして自由であり…」という 有名な出だし部分は,1の数字のところを見ればよいわけです。


左:壁一面アルファベットだらけ。
右:この並べ方にも順序があるというのだから驚き。


1行目頭に"LES HOMMES(人間)",2行目5文字目から"LIBRES(自由)"という単語が読み取れる。

12号線Assemblee Nationale駅
 同じく12号線のConcorde駅からセーヌ川を渡って一つ隣のAssemblee Nationale駅も凝った 装飾を持つ駅です。この駅のホームの壁は紙製のポスターで,定期的に入れ替えられます。 私が訪れたときは紺と赤,白をベースにした丸が描かれたデザインでした。この駅は日本の 衆議院にあたる国民議会の最寄り駅で,駅名そのものが「国民議会」という意味です。


壁紙は定期的に入れ替えられる。

13号線Basilique de St-Denis駅
 13号線のBesilique de St-Denis駅はサンドニ大聖堂の最寄り駅で,駅ホームの装飾はこの 大聖堂にちなんだものになっています。ホーム壁は間接照明によって照らされ,各所に宗教 関係の石像の写真が展示されています。


間接照明のホーム壁に写真が展示される。

14号線Gare de Lyon駅
 14号線のGare de Lyon駅には熱帯植物園のような一角があります。ホームから線路を挟んで 反対側に熱帯の植物が植えられています。14号線の駅はどこも天井が高く,ホームから改札階まで 吹き抜けになっています。その高さを利用して背の高い木も植えられています。ちなみに, 植物の生育に必要な光は全て照明でまかなわれ,自然光が取り入れられる構造にはなっていません。


線路の向こうに緑の空間が広がる。


  1. はじめに(当研究所ご利用にあたって)
  2. 研究所長のひとりごと
  3. パリメトロの概要
  4. 車両の解説(総説)
  5. 車両の解説(形式別)
  6. 駅の紹介(入口)
  7. 駅の紹介(ホーム装飾その1)
  8. 駅の紹介(ホーム装飾その2)
  9. 駅の紹介(ホーム装飾その3)
  10. 駅の紹介(営業・折り返し方式)
  11. 駅の紹介(構造その1)
  12. 駅の紹介(構造その2)
  13. 今後のパリメトロ近代化計画
  14. 世界各国の地下鉄の紹介
  15. 参考資料・リンク
  16. 札幌地下鉄研究所

参考資料:
松村美與子『パリメトロ物語』2000。
Brian Hardy『Paris Metro Handbook』1999(英語)。
Jean Tricoire『Un Siecle de Metro en 14 Lignes』2004(フランス語)。
Jean-Paul Ladril『Carnet de Paris en Metro』2005(フランス語)。
『METRO2003』http://www.metro2003.com/
RATPウェブサイトhttp://www.ratp.fr(フランス語)。


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2011/5/8修正
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