柱とその間接照明が美しい。(3・12・13・14号線St-Lazare駅)
かつて12号線と13号線の一部区間(Porte de Clichy・Porte de St-Ouen−St-Lazare間)は 南北地下鉄会社という別会社で建設・運営されていました。そのため,現在もホームの装飾などに この会社の装飾(ここではNord-Sud装飾と呼びます。Nord-Sudは南北の意)になっています。 過去に一度Nord-Sud装飾が撤去された駅でも改装工事を期にNord-Sud装飾に戻されたところも あります。
Nord-Sud装飾の特徴としてまず取り上げられるのは,入口のつり下げ型の赤サインです。 「Metropolitain」と書かれた赤サインはNord-Sudスタイル特有のもので,他の路線では見られ ません。そして,ホームのタイル装飾にも特徴が見られます。広告や駅名標が茶色か緑色の装飾 タイルで囲まれ,そこにNord-Sudの頭文字であるNSをモチーフにしたマークがあります。また, ホーム端のトンネルポータルの上部にはその行き先が大きく書かれています。他の駅の白タイルに よる装飾とちょっと雰囲気が違いますので,12号線や13号線に乗るときに注意していればその違い がわかると思います。なお,緑色のタイルは乗換駅もしくは終点駅に,茶色のタイルはその他の駅 で使われています。駅名や広告を囲むタイルの色を見れば乗換駅かどうかわかるというのは, なかなか考えられていますね。
左:つり下げタイプの赤サインはNord-Sud装飾。(12号線Porte de Versailles駅)
右:終点駅・乗換駅は緑の装飾タイルで画と駅名標が囲まれる。(12号線Porte de la Chapelle駅)
左:装飾タイルに囲まれタイル画が飾られる。(13号線Liege駅)
右:大きな駅名標も特徴。天井にまわる緑色のラインが美しい。(12号線Pasteur駅)
左:NSマーク。茶色のタイルは終点駅・乗換駅ではないことを示す。(12号線Lamarck Caulaincourt駅)
右:トンネルポータルの上部にはその線路の行き先が。(12号線Lamarck Caulaincourt駅)
1号線Hotel de Ville駅
日本語に訳すと「市庁舎」駅という意味のHotel de Ville駅,駅の上にはパリ市庁舎があり
ます。そして,この駅の1号線ホームにはLa Defanse方面,Chateau de Vincennes方面ともに
ホーム中央部に大きなパリ市の紋章があります。紋章は帆船を描いた丸い形で,紋章のある
部分だけ,天井の梁の色が違っています。また,この駅にはパリの歴史などについてのパネル
展示があります。
左:パリ市の紋章。ここの部分だけ天井の梁の色が青と赤になっている。
右:パネル展示。この部分はパリメトロについての展示で,手前の写真は13号線La Fourche駅
分岐部分。
2号線Victor Hugo駅
この駅がある広場はVictor Hugo広場といい,Victor Hugoという地名は19世紀を代表する
作家にちなんでいます。この駅はごく普通の内装の駅ですが,Nation方面行きホームの
一角にはVictor Hugoの銅像が飾られています。私もこの駅は何度も利用しましたが,
電車の待ち時間に何気なく目をやる人が多かったです。また,この駅はかつてホームが曲線上に
あったことからホームの移設が行われ,現在のホーム端からも使われなくなった旧ホームを見る
ことができます。この旧ホームにもPorte Dauphine駅と同じ平面タイルが残っています。
左:Victor Hugoの銅像。ガラスと柵に守られ展示されている。
右:平面タイルが残る旧ホーム。でも当然立入禁止。
3号線Gambetta駅
3号線Gambetta駅ホームはちょっと変わった照明が取り付けられています。吊り橋のように
吊られた蛍光灯が扇状に広がっており,天井は青い間接照明で照らされています。このため,
照明を境として天井は青,壁は白とはっきりと色が分かれており,独特の雰囲気を醸し出して
います。ちなみに,この駅は別の駅と合体させてできた駅で,ホームの長さがとても長いのが
特徴です。
左:連続的な白いタイルなのに照明で天井と壁がはっきり区別される。
右:かつて別の駅だった部分。天井は低くなる。柵があるもののホームの長さは200m近く。
4号線Cite駅
セーヌ川の中州の島シテ島にある駅,4号線Cite駅はノートルダム大聖堂やコンシェルジュリー
などパリの主要な観光名所への最寄り駅です。この駅のホームに取り付けられている球形の照明
はとてもきれいです。各支柱に3個ずつ取り付けられた照明は何かの実のように垂れ下がって
います。なお,4号線のこの区間はセーヌ川の下を通るため,パリメトロには珍しく地中深い
ところを走っています。そのため,地上へ出るまでは長い階段を登るかエレベーターを利用し
なければなりません。地中深いところのため,ホームの天井も高く駅は尖ったかまぼこ型の断面を
しています。
左:ホーム。球形照明は何かの実のように垂れ下がる。
右:地上に上がる階段から。階段の照明も球形で統一されている。
5号線Ourcq駅
5号線のOurcq駅には大きなM字型のオブジェが飾られています。恐竜のような,樹木のような,
何と言い表せばいいのかわからないですが,ホームの真ん中のガラスケースの中に
飾られていますので,電車の中からも見ることができます。
このオブジェは何を表しているのでしょうか?
8・9号線Bonne Nouvelle駅
8号線と9号線はRichelieu DrouotとRepubliqueの間で併走し,8号線が上,9号線が下の
上下2層構造となっています。この区間にある5駅では相互の乗り換えができます。併走区間内
の駅の一つBonne Nouvelle駅ではCite駅と同じような球形の照明が取り付けられています。この
駅では天井からまっすぐ下がる球形照明ですが,高さを変えてありとてもきれいに見えます。
また,駅名標も他の駅とは違い文字に段差を付けてあります。
<2009年8月追記>
残念ながら,2009年7月の訪問時には8号線ホーム,9号線ホームとも球形照明は取り外されて
いました。
左:8号線ホーム。こちらが上層。球形の照明がぶら下がる。
右:9号線ホーム。下層だが天井はこっちのほうが高い。
左:駅名標。映りが悪くてすみません...
右:コンコースにも同じような駅名デザインが。
13号線Varenne駅
ロダン美術館の最寄り駅である13号線のVarenne駅のホームには,ロダンの彫刻のレプリカが
飾られています。有名な「考える人」の像もあります。また,この駅は2面3線構造で,本線の
他にInvalidesからのループ線に繋がる線路があります。日中はこの線路にMF77が留置されて
おり,Varenne駅のホームの端からもトンネルで休むMF77の姿を見ることができます。
左:ホームにあるロダンの「考える人」。ホームにもMF77が留置中。
右:ループ線へ続く線路。ホームの端からトンネル内に留置中の車両が見える。
木製エスカレーター
6・8・10号線La Motte Picquet Grenelle駅には,パリメトロでも少なくなった木製ステップの
エスカレーターがまだ残っています。地下ホームの8・10号線から高架ホームの6号線への乗り換え
通路の途中にありますので,2基あるエスカレーター両方とも上りで,6号線からの乗り換えには
使えません。いつまで残るかわかりませんが,末永く活躍して欲しいものです。この駅の他いくつ
かの駅にまだ健在のようです。ちなみにエスカレーターはオーチス製です。
<2008年1月追記>
このエスカレーターは2007年秋頃から行われていた駅の改修工事により新しいエスカレーター
に置き換えられました。
La Motte Picquet Grenelle駅の木製ステップエスカレーター。
エスカレーターを降りると6号線高架の下に出る。
乗車目標の表示(2008年1月追記)
13号線号線の各駅にはホーム床にドアの位置がどこに来るかを示す乗車目標が黄色い線で
書かれており,ドアの両側で待ち,降りる人を通してから乗るように矢印で示されています。
13号線はパリメトロの中でも最も乗客数が増えている路線で,乗車目標表示は乗降による
列車遅延防止のためだと思います。13号線は将来的に各駅にホームドアの設置が予定されて
います。乗車目標表示はこのこととも関係しているのでしょうか。でも,ほとんどの乗客は
乗車目標の前で電車を待っていません。これはホームドアで乗車位置のわかる14号線でも同じ
ようです。日本人と違い,フランス人は電車が来るまで並んで待つということはしないみたい
ですね。
13号線Champs Elysees Clemenceau駅の乗車目標表示。
でも乗客が電車を待っている場所はみんなバラバラ。
<2009年8月追記>
この乗車目標は3号線St-Lazare駅にもありました。混雑の激しい駅に順次付けているの
かもしれません。
1号線のホームドア(2009年8月追記)
無人運転化が予定されている1号線では,ホームドアの設置が進んでいます。2009年7月の
時点で既にBerault駅にホームドアが設置され稼働しています。ホームドアの設置に併せて
駅の内装改修工事も実施され,駅名標は他駅には見られない電光式のものに交換されました。
今後,Berault駅に続き2009年夏にLes Sablons駅にもホームドアが設置される予定です。
左:ホームドアが設置されたホーム。(1号線Berault駅)
右:新しいタイプの電光式駅名標。(1号線Berault駅)
<2011年10月追記>
2011年9月の訪問時には1号線の全ての駅にホームドアが設置されていました。
7号線Chatelet駅の曲線階段(2011年10月追記)
7号線でChatelet駅に降り立つことはあまりないのですが,2011年この駅に7号線で着きました。
そのとき目にしたホームの跨線橋の曲線階段にはなぜか心を奪われてしまいました。この階段は
乗り換え口の階段とは反対側にあるので,Chatlet駅で降りる人しか使わないと思いますが,
トンネル内に設けられた跨線橋というか歩道橋のようなものです。しかもその階段が絶妙な
弧を描いており,その曲線美に心奪われたといった感じです。私以外の人が見てもただの階段に
しか見えないかもしれませんが,私のツボに嵌った階段としてご紹介しておきます。
なぜか気に入った曲線階段。でも利用者は多くない。(7号線Chatlet駅)
参考資料:
松村美與子『パリメトロ物語』2000。
Brian Hardy『Paris Metro Handbook』1999(英語)。
Jean Tricoire『Un Siecle de Metro en 14 Lignes』2004(フランス語)。
Jean-Paul Ladril『Carnet de Paris en Metro』2005(フランス語)。
『METRO2003』http://www.metro2003.com/。
RATPウェブサイトhttp://www.ratp.fr(フランス語)。