パリメトロの駅(構造その2)

駅での乗り換えについて解説します。


8号線と10号線が発着するホーム。(La Motte Picquet Grenelle駅)


 パリメトロでは路線の乗り換えは,ほとんどの場合階段を上がり,別のホームに移動する ことが必要になりますが,ごく一部の駅では短い移動距離での乗り換えができます。移動距離の 少ない駅は両路線の対向式ホームが並行に設けられ,隣り合う対向式ホームを何本かの通路や 階段で結ぶタイプ(下図参照)と完全な島式ホームに別の路線の電車が発着する場合に分けら れます。下の図のように,両方向でホームが隣接していないので,行きは並行ホームでの乗り 換えが可能でも,帰りは階段を使って乗り換えが必要といった場合がほとんどです。

Charls de Gaulle Etoile駅
 1号線Chateau de Vincennes行きから6号線へは並行するホームにより数メートルの移動で 乗り換えが可能です。6号線の乗車ホームと1号線のChateau de Vincennes方面行きホームが 隣接しています。しかし,6号線の降車ホームと乗車ホームを入れ換えれば,6号線から Chateau de Vincennes行きへの乗り換えが楽になり6号線から都心方面へ向かうのに便利にな ります。今はパリ近郊→6号線の乗り換えが便利になっている状況ですが,この方が圧倒的に 利用者の利便性が高まる多いと思うのですが。私はいつも乗車側ホームへ降りていました。

Villiers駅
 2号線Nation方面とPont de Levallois Becon方面へは並行するホームにより数段の階段の 乗降で乗り換えが可能です。両線の線路の高さに差があるので,両線のホームは階段でつな がっています。

Gare de l'Est駅
 5号線Bobigny方面と7号線La Courneuve行きの乗り換えは同一ホームで可能です。ホームが 扇形に広がっているため,完全な同一ホームとは言えないかもしれません。5号線Bobigny行き 電車の先頭側と7号線La Courneuve行き後部側が「扇の要」となり,乗り換えがより近くなり ます。

Jussieu駅
 7号線Villejuif Luis Aragon・Merie d'Issy方面と10号線Gare de Austerliz方面へは 並行するホームにより数メートルの移動で乗り換えが可能です。

Luis Blanc駅
 7bis線から7号線Villejuif Luis Aragon・ Merie d'Issy方面の乗り換えは同一ホームで 可能です。かつては7bis線の電車は7号線Villejuif Luis Aragon・Merie d'Issy方面の ホームと同一の島式ホームに設置された降車専用ホームで乗客を降ろしたあと,Z字型に スイッチバックして7号線La Courneuve方面と同一の乗車ホームから乗客を乗せ出発してい ましたが,現在は単純なホーム折り返しを行っており, 7号線La Courneuve方面行きから 7bis線に乗り換える場合は階段を使って移動する必要があります。

La Motte Picquet Grenelle駅
 8号線Creteil方面と10号線Gare de Austerliz方面の乗り換えは同一ホームで可能です。この 駅は島式ホームに止まる両列車が同一方向に進みます。


左:トンネルのような通路の向こう側に7号線ホームがある。(7・10号線Jussieu駅)
右:10号線のMF67車内から8号線のMF77を写す。(8・10号線La Motte Picquet Grenelle駅)

 どこの都市の地下鉄も市内中心部のたくさんの路線が集まる駅は乗り換えが遠くなる傾向 にあります。札幌では大通駅が,東京では大手町駅がこの駅に該当するでしょう。パリメトロも 例外ではなく,路線が多く集まる駅では乗り換えが遠く,たくさんの階段登り降りや長い通路を 歩く必要が出てきます。ここでは,なるべく乗り換えを避けたい乗り換えの不便な2つの駅に ついてご紹介します。

1・4・7・11・14号線Chatelet駅
 5路線が交わるこの駅はパリメトロ随一の大きな駅です。この駅はさらにRERのA・B・D線の Chatelet-Les Halles駅とも接続しているので,とても複雑な構造になっています。駅は 大きく7・11号線部分,1・4・14号線部分の2つに分けられるでしょう。7号線と11号線のホームは 比較的近く乗り換えは楽ですが,1・4・14号線同士は複雑に通路が入り組み,一筋縄では いきません。パリメトロでは通路が一方通行になっていることが多く,Chatelet駅でも 同じ路線同士の乗り換えでもどの方面からどの方面へ行くかによって乗り換え距離が 大きく変わります。上下関係を無視した大まかな駅の構造は以下の図のような感じです。


左:メトロChatelet駅とRER Chatelet-Les Halles駅を結ぶ動く歩道。
Chatelet-Les Halles駅側からの写真。動く歩道は途中から終点近くで少し勾配になる。
右:7・11号線と1・4・14号線を結ぶ動く歩道。11号線ホームからだと一旦戻って乗らなければならない。


Chatelet駅の出口地図。出口の散らばりを見てもいかに複雑で大きな駅かわかる。

4・6・12・13号線Montparnasse Bienvenue駅
 この駅は近接する2つの駅がつなげられたために大きくなった駅です。当初は4・12号線の Bienvenue駅と6・13号線のMontparnasse駅だったので,4号線と12号線,6号線と13号線の 乗り換えはそれほど遠くはありません。しかし,4・12号線と6・13号線の間の乗り換えは 長い動く歩道を通っての乗り換えが必要となります。動く歩道が止まっていることもよく ありますので,なるべくこの駅での乗り換えを避けた方が良いかもしれません。4号線と 6号線は2つ隣のRaspail駅,6号線と12号線も1つ隣のPasteur駅で乗り換えが可能です。 ただ,13号線と4・12号線は近くに乗り換えができる駅はありません。


左:動く歩道には9km/hと3km/hの2つの速度がある。
右:通路の壁にはパリメトロに関する装飾がある。


駅構内の通路もとても複雑。

1・14号線Gare de Lyon駅
 Gare de Lyon駅1号線と14号線の乗り換えはRER線の駅内を通り抜けなければなりません。 RER線の駅と1号線ホーム,14号線ホームの間にはそれぞれ中間改札があり,1号線と14号線の 間での乗り換えにはRER線の駅への入場と出場の2回中間改札を通過する必要があります。 中間改札通過の際には乗るときに使った切符が必要になります。パリメトロでも切符は降りる ときまで持っておくのが原則ですが,特にこの駅での乗り換えの際にはご注意ください。


Gare de Lyon駅のおおまかな構内図。
1号線と14号線の乗り換えにはRER線ホームを抜ける必要がある。


  1. はじめに(当研究所ご利用にあたって)
  2. 研究所長のひとりごと
  3. パリメトロの概要
  4. 車両の解説(総説)
  5. 車両の解説(形式別)
  6. 駅の紹介(入口)
  7. 駅の紹介(ホーム装飾その1)
  8. 駅の紹介(ホーム装飾その2)
  9. 駅の紹介(ホーム装飾その3)
  10. 駅の紹介(営業・折り返し方式)
  11. 駅の紹介(構造その1)
  12. 駅の紹介(構造その2)
  13. 今後のパリメトロ近代化計画
  14. 世界各国の地下鉄の紹介
  15. 参考資料・リンク
  16. 札幌地下鉄研究所

参考資料:
Brian Hardy『Paris Metro Handbook』1999(英語)。
Jean Tricoire『Un Siecle de Metro en 14 Lignes』2004(フランス語)。
『METRO2003』http://www.metro2003.com/
RATPウェブサイトhttp://www.ratp.fr(フランス語)。


入り口へ戻る

2011/5/8修正
inserted by FC2 system